何度か、言われたことがある。
「なんでそんなに厳しいの? 自分にも、人にも・・・」
自分ではそんなつもりはない。
むしろ、自分に甘いと思ってきたし、
そんなの当たり前だと生きてきたから、
わからない。
そんな僕が、
あぁ、そうなのか、
と気づかせてもらった。
世界陸上でのメダリスト、
為末大さんのTwitterだった。
「陸上をやりすぎたからか、
自分で自分をコーチして、
自らを成長させられない人間とどう接していいかわからない。」
陸上やってきてると、
自分を追い込んで追い込んでいく、
そのことがしみついてるから、
当たり前なんだと。
為末大さんといえば、
世界陸上で銅メダルを取ったトップアスリート。
だから、僕なんかと比べるのは、
失礼な気もするけどね。
まぁ、陸上に限ったことだけでなく、
人として、感覚が似てるところもあるんだろう。
そんな為末さんが、
「諦める」ことにフォーカスしたのが、
『諦める力』。
「諦める」というと、
なんだかネガティブなイメージがある。
だけど、前向きに諦めることもある、
そんな心の持ち方もあるといことを教えてくれた。
「諦める」とは、
必ずしも「終わる」「逃げる」「やめる」ということでなく、
その向こう側にある目的のために手段を変えることでもある。
そもそも、諦めるとは
「明らかにする」ということ。
あきらめなければ、夢はかなう、
と言われるけれど、
その言葉によって、苦しむ人もいる。
為末さん自身も、
これまでに何度も諦めることがあったのだという。
高校生のときには、
陸上の花形100mでは自分には敵わない相手がいるからと、
諦めた。
それでも、種目を変えてメダリストになったんだから、
きっとその諦めは、きっと正しかったといえるのだろう。
その決断の基準になるのは、
他者評価に振り回されずに、
自己評価と、自分で決断することが大切。
『諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉』
為末 大
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いわゆる「いい子」は与えられたランキングでより上位を目指すことに必死になる。
むしろ「いい子ではない」人間のほうが、人の評価を気にせず、自分の行きたい方向に思い切り踏み出している。
(P.143)
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人は、社会的な評価に影響を受けるものだ。
今高い評価を受けているのだから、なんとなく「違うんじゃないか」と思っていても、自分の感覚のほうが間違っているかもしれないと自分のほうを修正してしまう。
(P.198)
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競技人生を振り返って、自分の自信の核になっているのは勝ったことではなく、負けを受け入れ、そこから立ち直ったこと、勝負に負けたことくらいで傷つかなくなったことである。
人生は長く勝負は無数にある。
負けない工夫より、負けにふてぶてしくなるほうが最後は強い。
(P.144)
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心に響く言葉が、いくつもある。
アスリートなのだから、
スポーツに関する話題ばかりかというと、
まったくそうでもない。
高倉健さんが任侠映画をやめたわけ、
AKB総選挙に見るプロ意識、
ソーシャルメディアとリア充、
山中伸弥さんがノーベル賞を受賞するまでに“諦めた”こと。
為末さんの視野の広いところじゃないかな。
自分に自信が持てない人に、
一読をおすすめしたいなと思います。
みうらじゅんさんとの対談「意味を求めない生き方」も掲載されてる、
続編<2>もおすすめです。
これだけ言葉を紡ぎだせるアスリートってなかなかいないかもね。
『逃げる自由 〈諦める力2〉』
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