いやぁ~、やってくれましたね。
平昌五輪のメダル数…
…じゃなくて、
男子マラソンで日本最高記録が更新されました。
なんと、16年ぶりの快挙です。
日本国中が沸いた平昌五輪が閉幕した、
開会式の、まさにその日。
ちなみに、陸上競技のルールでは、
公認トラックの競技場では距離を“m”で、
マラソンやロードレースなど道路で催されるレースでは“km”で表記。
また、新しい記録が出ると、
公認トラックでの記録は“日本新記録”と呼びます。
そして、道路でのレースでは“日本最高記録”とされます。
気温や風などの気象条件だけでなく、
高低差やカーブなど、細かな条件が様々異なることによります。
なので、今回の記録も新記録ではありますが、
“日本新記録”ではなく“日本最高記録”と呼ばれているのです。
このたびの最高記録を出したのが、設楽悠太さん。
彼は双子の弟で、兄・啓太さんとともに
東洋大学での駅伝の一時代を築きあげました。
設楽悠太さんの大学駅伝では、
1年次の10月、出雲全日本大学駅伝。
このレースを、2区区間賞でデビューしています。
年が明けての、
東京箱根間往復大学駅伝競走大会(通称・箱根駅伝)では、
3区を走って、区間8位。
2日間を終えて、東洋大学は、
早稲田大学に次いでの、2位。
その差、21秒という僅差でした。
一人約20キロの距離を10人のランナーがつないで、
2日間にわたって走っての、21秒。
一人当たりでは、20キロ走って、わずかに2秒。
この経験をバネに翌年のチームで
酒井俊幸監督の掲げたチームスローガン
「その1秒を削り出せ」
は、その後有名なフレーズになりましたね。
そして、わずか1秒ずつをも大切にトレーニングを重ねていき、
翌2012年の箱根駅伝では、
設楽悠太さんは、7区で区間賞(区間新記録)。
チームも総合優勝を飾ります。
その翌年は、
3区で区間賞を取るも、チームはまたしても2位に。
大学の最終学年では、
3区区間賞、チームも総合優勝。
彼の勢いは、社会人になってからも止まらず、
2015年の全日本実業団対抗駅伝競走大会(通称・ニューイヤー駅伝)で
4区区間賞(区間新記録)。
2016年も4区で区間賞(2年連続区間新記録)と続きます。
なんと、大学から社会人にかけて、
5年連続して正月の駅伝で区間賞を取っているのです。
2017年は調子を崩し、区間13位に終わりましたが、
2018年にはまた区間賞に返り咲いています。
その勢いのまま、このたびの東京での日本最高記録へと続いています。
今回の新記録が、2時間6分11秒。
ちなみに、東京マラソンでの5kmごとのスプリットタイムは、
(0-5km) 14分51秒
(5-10km) 14分53秒
(10-15km)14分52秒
(15-20km)14分51秒
(20-25km)14分57秒
(25-30km)14分56秒
(30-35km)15分00秒
(35-40km)15分11秒
となっていて、ほとんどくるいがありません。
1キロ当たり、2分58秒から、3分02秒くらいの間で、
プラスマイナス2秒の範囲内で納めているのがわかります。
ちなみに、
1キロを3分、
5キロを15分のペースで、
42.195kmをきっちり走り切ったとしたら、
単純計算で、2時間6分56秒くらい?
2時間6分11秒ということは、
3分を切って、2分59秒の平均で42キロを走り切ったということ。
まさに、1秒を削り出した感じですね。
長距離ランナーというと、
ただひたすらに一生懸命に走っているだけという印象を持たれているかも知れませんが、
現実には、このように精密機械の如く刻んでいく緻密さがあるのです。
こういうことのも知っていくと、
長距離レースを観る楽しみが増えるかも知れませんよ。
なお、写真と本文は関係ありません(笑)